评书 神雕侠侣:平成23年度 農作物技術情報 第1号 水稲

来源:百度文库 编辑:中财网 时间:2024/04/28 04:32:35
平成23年度 農作物技術情報 第1号 水稲
2011年03月23日 発行

《東北地方太平洋沖地震の影響に対する技術情報》


1 農業用排水施設等の点検

 3月11日に発生した「平成23年東北地方太平洋沖地震」の影響で用排水施設が破損している恐れがあります。
特にパイプラインは通水を行い漏水が無いか確認する必要があります。
重大な問題があった場合、田植え時期が遅れる等の新たな問題が発生します。
早めに点検を行い、異常がある場合は早めに修繕を行います。

2 圃場及び圃場周辺の点検

 圃場及び圃場周辺についても地割れや亀裂等の異常が無いか、畦畔補修とあわせて点検を行う必要があります。
また、農道についても地割れや路肩の崩壊が無いか点検し、農作業事故を未然に防ぎましょう。

3 育苗施設、機材、資材の点検

 育苗施設、機材、資材についても破損、故障が無いか早めに点検を行いましょう。
催芽器、播種機、育苗器の破損、変形は作業能率を著しく低下させるだけではなく、ひどい場合作業そのものが出来ない恐れがあります。
実際に動作を確認し、異常がある場合は早めに修繕を行います。

4 農作業のすすめ方について

 農業用水?排水等に重大な破損が発生した場合、農作業全体が遅れます。
水田への通水可能時期について、土地改良区等へ確認のうえ作業をすすめましょう。

5 塩害対策について

 海水が侵入した圃場については湛水、灌水等による塩類除去に努めて下さい。
(要約の「【塩類対策】海水をかぶったほ場での栽培について」参照)



《定期情報》

極端な早植えは、障害不稔の発生や登熟初期の高温による玄米品質の低下を招く危険を高めますので、適期移植を目標とした播種計画をたてましょう。

◆ 育苗期の適正な温度?水管理により、健苗育成に努めましょう
催芽温度は30℃、加温出芽(30℃)が基本、過かん水を避ける

◆ 育苗期の病害防除を徹底しましょう
生物農薬の使用法に留意、苗立枯病対策の徹底、耕種的対策も万全に

◆ 畦畔のかさ上げ?補修を実施しましょう
深水管理のできるほ場づくり、肥料?除草剤の効果安定化と用水の浪費防止

◆ 農薬の適正?安全使用に心がけましょう
登録内容の厳守、飛散防止対策



I 育苗対策


1 播種計画


近年、作業性を優先した移植時期の早期化や温暖化傾向により、一年で最も暑い8月上旬に出穂期を迎えており、登熟初期が高温経過することにより白未熟粒発生など玄米品質の低下が懸念されます。
また、生育ステージの前進により危険期(幼穂形成期~減数分裂期)が低温に遭遇し、不稔発生のリスクが高まることにもつながります。
適期(概ね5月10日~25日;県南部:5月10日~20日、県中北?沿岸部:5月15日~25日)に移植できるよう移植日から各苗質ごとの育苗期間(稚苗:20~25日、中苗:35~40日)を逆算して播種計画をたててください。


図1 県内の主要アメダス地点における移植時期の目安



2 種子更新


自家採種した種子は使用せず、100%種子更新しましょう。

3 種子消毒

(1)種子消毒の共通留意点


ア 消毒濃度?時間の厳守 薬剤を使用する濃度や処理時間等は、登録内容を厳守しましょう。

イ 処理方法?作業手順は正確に 処理方法や手順を誤ると消毒の効果が低下したり、苗の生育に影響を及ぼす場合があるので注意しましょう。

ウ 耕種的防除を基本とする 種子消毒後も管理の仕方に不備があると病害が発生します。
出芽、催芽での適正な温度管理や、育苗での適正なかん水や温度管理に努めましょう。

エ 廃液の適正処理 消毒後の廃液は河川や井戸周辺に捨てないでください。

(2)大量種子消毒による消毒済み種子の使用上の留意点


大量種子消毒による消毒済み種子は、200倍低濃度液24時間浸漬法と比較して、催芽時の動きがやや遅くなる傾向があります。
苗の生育への影響は認められませんが、無加温出芽では浸種温度10℃以下となったとき生育が若干劣り、マット形成が弱くなる場合があります(表1)。
以下を参考に管理を徹底してください。

表1 出芽方式と種子消毒剤の処理方法がマット形成に及ぼす影響(平成22年度試験研究成果)


ア 浸種温度は12℃~15℃とし、10℃以下の低温としない。

イ 必ず苗立枯病対策(薬剤?耕種対策)を別途行う。

ウ 細菌病対策として、催芽?出芽温度は30℃を超えない。

エ 播種前に必ずハト胸状態を確認してから播種を行う。

オ 加温出芽を基本とする。

カ 使用しなかった種子は絶対に食用や飼料としない。

(3)生物農薬(エコホープ、エコホープDJ)使用上の留意点


生物農薬は化学合成農薬に比べて一般的に防除効果が不安定で(表2)、使い方や消毒前後の管理方法によっては防除効果がさらに低下する場合があります。
生物農薬の防除効果をできるだけ安定させるため、以下を参考に管理を徹底してください。



ア 浸種前処理は細菌病に効果が劣るため行わない。

イ 催芽時処理と比較して催芽前処理は防除効果が劣るので、可能な限り催芽時処理を行うこと。消毒(催芽時処理)のポイントは以下のとおり

(ア)200倍に希釈した薬液に24時間浸漬する。

(イ)薬液温度を予め30℃に昇温してから種子を浸ける(処理温度が30℃を越えると防除効果が低下する)。

(ウ)薬液処理は種子10kgに対して薬液20L、種子50kgに対しては薬液100Lの割合で行う。

(エ)薬液内で籾袋を数回振り、処理中は種子が薬液にきちんと浸かるようにする。

(オ)一度使用した薬液は絶対に再利用しない(他の種子を消毒する場合は、薬液を新たに調製する)。

(カ)処理後の種子は低温保存や風乾すると効果が低下するので、速やかに播種する。

ウ DMI剤を含む薬剤との混用(テクリードCフロアブル、ヘルシード水和剤、モミガードC水和剤、スポルタック乳剤)、嵐プリンス箱粒剤6の床土混和処理またはは種後覆土前散布との体系処理は効果を低下させるので行わない。

エ 出芽時及び育苗初期に10℃以下の低温に遭遇すると防除効果が不安定になるので、必ず加温出芽を行い、出芽後も低温に遭遇させないよう、被覆資材等により保温につとめる。

オ リゾプス菌による苗立枯病に対する効果は低く、リゾプス菌以外の病原菌による苗立枯病に対しては効果が期待できないので、必ず苗立枯病対策(薬剤?耕種対策)を実施すること。

カ いもち病に対する効果が低いので、育苗期の葉いもち防除を実施すること。

キ プール育苗を行うと、細菌病類の発生が抑制される。 なお、プール育苗は緑化終了後2~3日以内に入水を開始しないと細菌病に対する防除効果が得られないので、適切な入水時期を厳守する。



(4)温湯浸漬処理のポイント


温湯浸漬処理を行う場合には、以下の流れで作業を実施してください(図3)。

ア 温湯浸漬に使用する種子は前年採種したもので種子審査基準に合格した健全種子を用いる。

イ 温湯浸漬に使用する種子はうるち品種に限定する。もち品種は発芽率が大きく低下することがあるので、温湯浸漬は実施しない。

ウ 割れ籾率の高い種子は、健全な種子と比較し、温湯浸漬による発芽率の低下が大きいため、事前に発芽率を確認し、温湯浸漬実施の可否を判断する。

エ 温湯浸漬前の高水分の種子は発芽率が大きく低下するので、塩水選、水洗後はよく水を切り、1時間以内に処理を行うか、塩水選後籾水分15%までよく風乾させた種子を用いる。

オ 温湯浸漬の処理量は使用する温湯浸漬処理装置の仕様に従う。

カ 防除効果、発芽率が低下する場合があるので、浸漬温度?時間は58℃20分もしくは60℃10分を厳守する。

キ 温湯浸漬後の浸種作業に使用する水?容器はきれいなものを使用し、慣行に従い浸種を行う。

ク 浸種水温が15℃以上に上昇するところで浸種すると防除効果が低下する。


4 浸種


農業用水?排水等に修繕が必要となる破損が発生している恐れがあります。
関係機関と密に連絡を取りながら農作業をすすめましょう。

(1)浸種水温は12~15℃、浸種期間は7~10日


ア 保温対策
出芽揃いを良好にするため、低温浸種(10℃以下)は行わないでください。
浸種中に低温が予想される場合は保温対策を講じてください。
軒先など外気にさらされるような条件で浸種している場合は特に配慮が必要です。

イ 直射日光は避ける
直射日光が当たる場合は水温の温度ムラが生じ、発芽不揃いの原因となります。
この場合はカバーを掛けるなど、水温が一定になるよう工夫してください。

ウ 浸種には水道水を水槽に貯めて
川やため池、用水路での浸種は絶対行わないでください。

(2)水換えは2~3日ごとに

種子消毒したものは薬液が流亡しないよう、水換えは頻繁にせず、2~3日毎に行いましょう。

5 催芽

(1)催芽温度の厳守

30℃を厳守してください。特に、32℃以上になると、細菌病類の発病を助長します。

(2)催芽の確認


発芽の速度は種子予措、品種、休眠性の差で異なることから、所定時間になる前から必ずハト胸程度になっているか確認してください。芽を伸ばしすぎると出芽歩合の低下や出芽ムラの原因となります。

(3)病害対策


循環式のハトムネ催芽器を使用すると、細菌病やばか苗病の発生を助長することが明らかとなっています。

当病害の発生が問題となっているようなところで循環式のハトムネ催芽器を使用する場合には、湯せんを行うように水を入れた桶などを槽内に設置して種子を入れ、種子を入れた桶内では催芽水を強制的に循環させないよう工夫してください(図4)。

なお、桶内の水温は、催芽器の設定温度より1~2℃低くなるので、温度計で種子付近の水温を測り、適温となるように設定してください。



6 播 種


(1)播種量


苗質ごとの基本量とします。
稚苗:乾籾 150~180g/箱
中苗:乾籾 100~120g/箱

(2)苗立枯病防除対策


 近年、特別栽培米等の生産で化学合成農薬を減じるため、苗立枯病防除対策が不十分な防除体系を組んでいる地域で、苗立枯病の発生が目立っています。
このようなところでは、育苗期間のハウス内の温度管理(5℃以下の低温、25℃以上の高温にしない)や水管理(過かん水を避ける)を徹底しましょう。
このような耕種的管理の徹底が困難なところでは、播種時に有効な薬剤を使用する等防除体系の見直しを検討しましょう。


7 出 芽


加温出芽を基本とします(無加温出芽は、出芽、生育ムラが生じ、過湿状態となりやすいため病害発生の原因となります)。

(1)温度は30℃を厳守

高温:苗質劣化の要因となり、細菌病の発生を助長します。
低温:出芽遅延や苗立枯病発生の原因となります。

 

(2)苗質ごとの出芽長を守りましょう


出芽に要する日数は通常2日(48時間)で完了し、出芽長は稚苗で1cm以内、中苗で0.5cm程度にとどめます。
箱の位置(上下)によって多少差が生じますが、箱内の7~8割出芽が認められたら、実用上出芽が完了したものとします。


8 育苗期の管理


(1)温度管理


苗質?生育時期に応じた温度管理を徹底してください(表3)。



(2)かん水

緑化期間中は1日1回を原則とし、過かん水(過湿)にならないよう注意しましょう。
また過乾燥も苗立枯病(トリコデルマ属菌)の原因となる場合があるので、適量のかん水にこころがけてください。

9 プール育苗のポイント


プール育苗に取り組む場合は、以下の点に留意してください。
特に、最近は入水時期の遅れや十分な水深を確保していない育苗施設が目立ちます。中途半端な水深は病害発生の原因となりますので注意してください。


(1)置床の準備


水平が得られないと湛水深のムラが生じ生育の不揃いの原因となりますので、水準器やそれに準ずるものを用いて置床を均平にします。

(2)種子消毒、浸種、播種、緑化


慣行の管理方法に準じて行います。

(3)適正な入水時期と水位

1回目:緑化終了後2~3日以内、培土表面より下に
※ 苗が水没すると生育ムラになるので注意。
※ 入水が早すぎると生育不良の原因となるので注意。
※ 入水が遅いと細菌病類の発病抑制効果が期待できなくなるので注意。

2回目:2葉目が出始めたら培土表面より上に(ひたひた水は避けましょう)。


図5 プール育苗における本葉2葉目抽出開始以降の適正湛水深

(4)温度管理(温度上昇に要注意)

2回目の入水まで:育苗ハウスのサイドは日中開放、夜間閉鎖とします。
2回目の入水後 :基本的に昼夜ともハウスサイドは開放します。ハウス内が4℃を下回ると予想されたらサイドを閉めてください。

10 共通事項


(1)育苗環境の整備

  各種機材?施設の洗浄を行うとともに、育苗施設内やその周辺に籾殻?稲わらを放置しておくと、いもち病やばか苗病の伝染源となるので撤去してください。

(2)各種機材の点検


  事前にサーモスタットの点検、器機作働の確認を行ってください。

(3)異品種混入防止対策


  組作業時の作業前確認と意識統一、書面での確認、種子袋記載事項確認など、異品種が混入することのないよう細心の注意を払ってください。

(4)農薬の飛散防止


  育苗ハウス内等で農薬を散布する場合、隣接する作物へ飛散しないよう注意しましょう。
   なお、水稲の育苗後に野菜等を栽培するハウスで、土壌に薬剤が飛散すると後作物への農薬残留が懸念されますので、無孔のビニールシートを敷いていない育苗ハウス内では、箱施用剤等の使用は控えてください。


II ほ場の準備


1 畦畔等の補修

幼穂形成期から減数分裂期前後の低温時には深水管理の実施が障害不稔の軽減技術として有効となります。深水管理(15cm以上)ができるよう畦畔のかさ上げを実施してください。

また、畦畔や水尻からの漏水を防ぎ湛水状態を保てる圃場をつくることは、深水管理や除草剤等の農薬の効果を発揮するためにも必要となるほか、農業用水の浪費防止にもなりますので、畦畔や水尻の補修も実施してください。


2 土づくりの励行


(1)有機物の施用

有機物の施用は土づくりに欠かせない技術となります。
有機物の種類により施用量が異なりますので、表4を参考に適正量の有機物を施用してください。



(2)深耕


稲の生育?収量?品質を高めるためには、根の活力を高める土作りが必要です。
根の発達は土壌の物理性と密接に関係しており、作土層が深く、軟らかく、透水性が十分確保されていれば、根は下層まで深く分布し、養分?水分を生育後期まで豊富に吸収利用することができます。
作土が浅いと肥効の持続が短くなるうえ、根張りも悪くなり根の機能が早く低下し、気象変動に対する抵抗力が弱くなるので、作土深は15cm以上を確保するようにしてください。

また、春に稲わらを鋤き込む場合には、なるべく早めに実施して分解を促進します。
その際、窒素を含んだ稲わら腐熟促進肥料は倒伏を助長するので施用しないでください。


注意!
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